連載 内科疾患患者における理学療法介入に必要なアセスメント・Part 1【新連載】
在宅における理学療法介入に必要なフィジカルアセスメント
平野 康之
1
Yasuyuki HIRANO
1
1東都大学幕張ヒューマンケア学部理学療法学科
pp.829-833
発行日 2020年7月15日
Published Date 2020/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551201977
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在宅理学療法対象者の疾病(障害)像の変遷
「令和元年版高齢社会白書」によると,要介護者の介護が必要になった主な原因は「認知症」が最も多く,次いで「脳血管疾患(脳卒中)」,「高齢による衰弱」と続いている1).近年は,この主な原因に加え,内科系疾患の併存罹患,フレイルやサルコペニアの合併などを有する要介護者が増加しており,複雑な臨床像を呈することも少なくない.
実際,要介護者の内科系疾患罹患率調査では呼吸器や循環器,悪性新生物などの疾患を重複罹患している者が多い2).さらに,後期高齢者の64%が2種類以上の慢性疾患の治療を受けており,併存頻度が高い疾患は高血圧や脂質異常症などの内科系疾患である3).また,英国における高齢者の多発病有病率シミュレーションでは,2015年から2035年の間に4つ以上の疾患併存罹患者の割合が9.8%から17.0%に増加する4)と報告されており,本邦においても同様のことが予測される.特に内科系疾患を有する症例は,疾患の特性などから症状の増悪や急変,再発などを来すことが多く5,6),理学療法士は安全なサービス提供にあたって全身状態や病状の把握に努めるとともに,急変予測や急変対応などに関する知識・技術の向上が必要となる.
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