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はじめに—臨床実習前・後の評価の位置づけ
「理学療法士作業療法士学校養成施設指定規則の一部を改正する省令」が2018年10月5日に定められ,2020年度入学生より適用された.この改正において,臨床実習に「臨床実習前の評価及び臨床実習後の評価を含む」ことが明記された1).また,「理学療法士作業療法士学校養成施設指導ガイドラインに関するQ & A」2)では,「臨床実習前後の評価は,(中略)その評価方法及び単位数(評価時間)等については,養成校の定めるところによる」としたうえで,「臨床実習前後の評価は,特に総合臨床実習に関する教育結果を判定することを目的として新たに加えられたことから,実習生の技能等に関して,実習前に実技試験等による評価を行い,直接患者に接するに当たり,総合的知識及び基本的技能・態度を備えていることを確認し,その評価を踏まえた教育を臨床実習施設で行い,その判定を臨床実習後の評価等で行うことが望ましい」とされている.
臨床実習前後の評価の方法についての明確な規定は示されていないが,学生の基本的技能・態度を評価するには,やはり客観的臨床能力試験(objective structured clinical examination:OSCE)を導入することが必要であろう.OSCEとは,Hardenら3)によって提唱された臨床能力評価方法で,客観的に臨床能力を評価するために提案された.臨床実習前・後における評価方法を選択するうえで,認知領域・情意領域・精神運動領域のタキソノミー(教育目標分類)に対応した教育方法・評価方法(表1)を用いることが提案されている4).精神運動領域のスキル(技能)評価には,直接観察法やOSCEのような技能試験を実施することが推奨されている.またOSCEでは,精神運動領域だけでなく,症例シナリオに基づいて実際に実技を行うなかで医療者として求められる態度(情意領域)についても,評価が可能である.
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