Japanese
English
特集 工学とリハビリテーション
脊髄損傷者の歩行再建における工学の応用
Rehabilitation technology for standing and walking after spinal cord injury.
和田 太
1
,
越智 光宏
1
,
蜂須賀 研二
1
Futoshi Wada
1
,
Mitsuhiro Ochi
1
,
Kenji Hachisuka
1
1産業医科大学リハビリテーション医学講座
1Department of Rehabilitation Medicine, University of Occupational and Environmental Health
キーワード:
脊髄損傷
,
歩行再建
,
工学
Keyword:
脊髄損傷
,
歩行再建
,
工学
pp.431-438
発行日 2007年5月10日
Published Date 2007/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552100846
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はじめに
一昔前の脊髄損傷者の歩行再建と言えば,長下肢装具と松葉杖を用いた「四点」,「二点」,「引きずり」,「大振り」,「小振り」などの歩行を思い浮かべる.これらの歩行は,体系化され,リハビリテーションの現場で実践されてきた.以前は入院期間が長かったこともあるが,完全対麻痺者が,階段昇降までできることもそうめずらしいことではなかった.しかし,日常生活での移動には,車いすのほうが格段に簡便で速く,この松葉杖を用いた歩行方法は必ずしも活用されなかった.一時期,早く車いす生活を自立させることを第一目標とし,歩行訓練の意義を疑問視する声があったのも事実である.しかし,多くの脊髄損傷者が,車いすは有効な生活手段と理解していても,やはり,自らの足を使い歩行をしたいと願うのはごく自然なことだった.
その後,機能的電気刺激,股継手付きの下肢装具,体重支持式(吊り下げ式)トレッドミル歩行訓練などの工学と連携した新しい技術が次々と登場し,脊髄損傷者の歩行再建は,ずいぶん様変わりをしてきた.とくに,体重支持式トレッドミル歩行訓練は,ニューロリハビリテーションの概念が結びつくことで,一気に広がりをみせ,ついには,ロボット技術が導入されるに至った.
本稿では,工学と連携して発展してきた近年の脊髄損傷の歩行再建の流れについて,概説する.
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