とびら
淘汰されないもの
林 宏樹
1
1関西ろうさい病院中央リハビリテーション部
pp.215
発行日 2019年3月15日
Published Date 2019/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551201469
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50歳台半ばになった.中学生のとき,音楽の教科書にビートルズの『Let It Be』が載っていることを昭和一桁生まれの父に話すと,ビートルズも最初は不良の音楽だった,教科書に載るようになったのかと感嘆していた.中学生の頃から20歳過ぎまではご多聞に漏れず歌謡曲やポップスを夢中になって聴いた.多くの曲や歌手をすっかり忘れてしまったが,まさに世代であるサザンオールスターズと中島みゆきは特別な存在であり,いまだに聴き続けている.今の若者も古く感じたりはしないだろう.決して音楽に造詣が深いわけではないが,ベートーヴェンの第九は好きで,メロディーを耳にすると心が弾むものである.1824年の作品なので200年近く繰り返し演奏されている.
芸術や文化,実用品であれ,あるいは思想や宗教なども本当によいものは,多くの人に重用され愛される.そして時に海を越え,時代を超えて受け継がれるのである.長きにわたり淘汰されないものはありふれたものにみえ,当たり前に感じがちだが普遍的価値がある.
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