わたしの意見
改革を実現するための自然淘汰的方法
佐藤 邇
pp.268-269
発行日 1970年2月15日
Published Date 1970/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410204244
- 有料閲覧
- 文献概要
月に人間が行けるような自然科学の急速な進歩にくらべ,政治,経済,道徳,宗教などの人文科学は昔のままである。そして一般人の科学的考え方が,最近の情報伝達法のため幾何級数的に促進されると,昔のままの人文科学の矛盾はいたる所で明らかにされ耐えられぬものとなつた。このため旧制度の崩壊,その権威や面目の失墜が続発し,世界的に不安定な状態が起こつた。
したがつて不合理な政治制度や時代遅れの権威を振りかざす大学教授などがまず批判の対象とされたのは自然のなりゆきである。私は大学教授制度(眼臨,56巻,535ページ,昭37),学会制度(眼臨,56巻,612ページ,昭37),医局,医師会制度(眼科,5巻,77ページ,昭38)などの改革案を昭和37年頃から繰り返し発表した。昭和43年1月の東大医学部ストライキを初めとした多くの医学部紛争,日眼のあり方委員会では,私が取り上げた矛盾がだいたい問題となつている。したがつて私が以前に発表した意見を再び述べるより,いかに改革案を実現するかを論ずる方が有意義であろう。
Copyright © 1970, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.