指標
異常卵の発生機序—Ⅰ.淘汰との関連でみた異常卵の臨床的意義
佐藤 孝道
1
,
加賀山 哲夫
1
,
五味渕 秀人
1
,
香山 文美
1
,
森田 良子
1
,
水野 正彦
1
,
坂元 正一
1
Kodo Sato
1
1東京大学医学部産科婦人科学教室
pp.757-767
発行日 1983年11月10日
Published Date 1983/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206890
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
ヒト卵子の数は胎児期に最高になり約700万個にも達するが,その後次第に減少し実際に排卵される数は数百個にすぎない。また,男子の一生を通じて作られる精子の数は数え切れない。ヒトの場合わずか2〜3人の子孫を作るのに何故無数の生殖細胞が必要であるかは,神秘のヴェールに包まれたままである。
一方,自然流産胎児の半数以上に染色体異常や奇形が発見され,胎児そのものの異常によって胎芽死亡から流産に至ることが明らかとなった。普通の妊娠で10〜15%という高頻度で流産が起こることもさることながら,さらに着床以前に失われる妊卵の数がその数倍に及ぶことも推測されており,生殖現象を淘汰の過程としてとらえることの重要性が指摘されつつある。
Copyright © 1983, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.