ヒューマンバイオロジー--臨床への展開 流産
淘汰としての自然流産
佐藤 孝道
1
,
香山 文美
1
,
野末 順
1
Kodo Sato
1
1東京大学医学部産科婦人科学教室
pp.71-77
発行日 1985年2月10日
Published Date 1985/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207119
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自然流産の病因は多くの教科書で母体側因子と胎児側因子に分けて記載されている。この分け方は昔も今も変わりがないが,今日では胎児側の要因がより強調されるようになった。
これは超音波検査の進歩により,ほとんどすべての妊娠初期流産でまず胎児の死亡が先行することが明らかにされたことによる。またこのような流産では,正常に発育した胎児自体が認められないことが多く,その約半数には染色体異常が認められる。すなわち,ほとんどすべての妊娠初期自然流産の直接的原因は胎児の異常(広義の先天異常)によると考えられるようになった。
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