特集 バランス再考
高齢者のバランス障害への理学療法
福富 利之
1
Toshiyuki Fukutomi
1
1リハビリテーション花の舎病院
キーワード:
高齢者
,
転倒
,
立位バランス能力
,
姿勢制御
,
感覚情報の再重みづけ
Keyword:
高齢者
,
転倒
,
立位バランス能力
,
姿勢制御
,
感覚情報の再重みづけ
pp.823-830
発行日 2018年9月15日
Published Date 2018/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551201302
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はじめに
超高齢社会の現在では,65歳以上の高齢者の年間転倒発生率が約20%であり,そのうちの約10%は骨折に至る1)とされ,重大な問題となっている.転倒の要因は外的要因と内的要因との大きく2つに分けられる.外的要因とは床面の状況や照明といった環境要因を指し,内的要因とは立位バランス能力を含めた主に身体機能を指す.高齢者の転倒予防には両要因ともに改善が必須となる.
立位バランス能力の評価には,重心動揺計などの測定機器を用いる評価指標とファンクショナル・リーチなどの臨床場面で使用されている評価指標とがある.多くのバランス能力の評価指標では,目に見える結果で良し悪しを判断することになるが,結果のみでは問題点の詳細は不明確である.高齢者のバランス障害への理学療法を提供するためには,目に見えない運動・姿勢制御の過程を理解することも重要と考える2).本稿では,転倒の内的要因(認知プロセスを除く)と加齢変化について述べ,転倒予防に向けた臨床上の私見を加えて概説する.
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