Japanese
English
報告
Dual-taskバランストレーニングには転倒予防効果があるのか?―地域在住高齢者における検討
Effect of training of balance under dual-task condition in community doweling elderly people
山田 実
1,2
,
上原 稔章
1
,
浅井 剛
2
,
前川 匡
2
,
小嶋 麻悠子
2
Yamada Minoru
1,2
1坂田整形外科リハビリテーション
2神戸大学大学院医学系研究科
キーワード:
転倒
,
バランストレーニング
,
二重課題
,
虚弱高齢者
Keyword:
転倒
,
バランストレーニング
,
二重課題
,
虚弱高齢者
pp.439-445
発行日 2008年5月15日
Published Date 2008/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551101183
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
- サイト内被引用 Cited by
要旨:高齢者にとって「転倒」は「認知症」とともに大きな不安要素であり,転倒の予防は,高齢社会であるわが国が抱えた重要な課題でもある.近年,その転倒要因の1つとして,二重課題(dual-task;以下,DT)条件下でのパフォーマンス能力の低下が挙げられ注目されている.そこで,われわれはDT条件下でのパフォーマンス能力を向上させる目的で,DT条件下でのバランストレーニングを考案し,地域在住高齢者を対象に,そのトレーニングの有用性について検討を行った.対象者は要支援から要介護2までの状態にある虚弱高齢者65名(84.4歳)であり,dual-task群(DT群22名),single-task群(ST群21名),コントロール群(22名)の3群に分け,12週間の介入を行った.DT群はバランストレーニングと同時に認知課題である計算や文章の音読を行い,ST群はバランストレーニングのみとしている.バランストレーニングを施行したDT群,ST群は,それぞれ身体機能向上を認めたが(p<0.05),DT条件下10m歩行時間で有意な向上を示したのはDT群のみであった(p<0.05).さらに,DT群でのみ,介入後6か月間の転倒発生状況が顕著に減少していた(介入前40.9%→介入後4.5%).これらのことから,STトレーニングでもDTトレーニングであっても身体機能を高めることは可能であるが,DT条件下でのパフォーマンス能力を向上させ,転倒を減少させるには,DT条件下でのバランストレーニングが重要であることが示唆された.今後は,多施設で検証を行い,エビデンスを構築していく必要があると考えている.
Copyright © 2008, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.