講座 理学療法に関するガイドラインupdate・3
大腿骨頚部/転子部骨折
加藤 浩
1
,
奥村 晃司
2
,
岡澤 和哉
3
Hiroshi Kato
1
1九州看護福祉大学大学院看護福祉学研究科健康支援科学専攻
2社会医療法人玄真堂川嶌整形外科病院リハビリテーション科
3九州大学病院リハビリテーション部
キーワード:
大腿骨近位部骨折
,
集学的リハビリテーション
,
転倒予防
Keyword:
大腿骨近位部骨折
,
集学的リハビリテーション
,
転倒予防
pp.561-573
発行日 2018年6月15日
Published Date 2018/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551201228
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はじめに
厚生労働省は2017年7月に,平成28年簡易生命表の概況を発表した1).それによると日本人の平均寿命は,男性が80.98歳,女性が87.14歳となった.この数値は世界トップレベルであり,年次推移からみても高齢化は進展し続けている.また,同省の平成28年国民生活基礎調査では,高齢者が骨折・転倒により要支援,要介護となる割合は,それぞれ15.2%,約10.8%を占めている(図1)2).特に高齢者のなかで発生頻度が高い大腿骨近位部骨折3)に関しては,2007年の本邦の調査で,男性3万1300人,女性11万6800人,計14万8100人と推計されている4).さらに,最近の調査(2012年)5)では,約19万人と推計されており,数値のうえでは増加傾向にある.このように高齢社会を迎えた本邦において大腿骨近位部骨折の予防と治療は重要課題の1つとなっている.そこで本稿では,「大腿骨頚部/転子部骨折診療ガイドライン,改訂第2版」6)(以下,ガイドライン)の内容を踏まえて,エビデンスに基づいた実践理学療法のポイントについて解説する.
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