甃のうへ・第30回
心に残る「言葉」と「努力」は人生最大の「杖」である
中島 雅美
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1一般社団法人日本医療教育協会国試塾リハビリアカデミー
pp.930
発行日 2015年10月15日
Published Date 2015/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551200353
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理学療法士になって39年という年月が経ち,来年には還暦を迎える歳になってしまいました.月日の流れは本当に速いものです.私がこの道に入った最大の理由は,「親に迷惑をかけずに上級学校に行くこと」でした.私は小さいころに父を亡くしています.幼い子供2人を抱えて再婚もせず私たちを育て上げた母を楽にするには,お金のかからない学校に行くことしかありませんでした.そのころの九州リハビリテーション大学校は労働省(当時)の養成校であり,全寮制でほとんどお金がかかりませんでした.とてもありがたかったです.「理学療法士」が何であるかなど,まったくわからない状態での入学でした.その学校で教えられ,今でも心の支えになっている言葉があります.それは,「君たちはリハビリテーション医療のプロフェッショナルであり,君たちが日本のリハビリテーション界を引っ張っていくのだ」という言葉です.
この39年間にいろいろなことがありました.個人的には「結婚,3人の子供の出産・子育て,自宅の購入,子供たちの進学,私自身の大学や大学院への入学」などなど,社会的には「大学病院,療養型病院,理学療法士・作業療法士養成校2校の勤務を経て,国家試験予備校の設立」.そのたびに何度も何度も悩みました.家庭,子育て,仕事,経済,挙げればきりがないほど…….でもそのたびに思い出されるのが学生時代に言われたあの言葉でした.そしていつも傍にいて励ましてくれる夫の「頑張れば必ず何とかなるさ」という言葉でした.
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