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編集後記
網本 和
pp.306
発行日 2001年4月15日
Published Date 2001/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551105793
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今年の春は特に花粉が大量に飛んでいるそうで,インフルエンザがあまり流行しなかったので急に病気になった気分です.この花粉のことを除けば4月のこの時期は大好きな季節のひとつで,桜花の陰に新入生やフレッシュマンを迎えようとしているところです.なにやら大学の開始を秋からにしようとする動きもあるやに聞きますが,卒業と新学期の時期がこの花の季節にあるという経験は,少なくとも小生にとっては動かしがたいものであり,ひとつのパラダイムなのかもしれません.
さて今号の特集は,「理学療法におけるパラダイム転換」です.小生はこの企画の立案担当であったいきがかり上,ひとつの項目を執筆せざるを得ない「幸運」を引き当ててしまい,とても苦労しました.しかし,小生担当以外のそれぞれの論文は,その領域の水準を凌駕する力作と思われます.鈴木論文では疼痛の治療に関し,理学療法士の提供する内容の画一性についての警鐘が発せられています.山﨑論文はいわば氏のこれまでの研究業績の1つの到達を示すものであると思われます.特に筋力評価の結果を能力障害の予測に連結させるという視点は注目に値するものといえるでしょう.杉下論文では,高次神経機能を評価する方法のこれまでの問題点と現在の最新の治験を極めて具体的かつわかりやすい表現で述べられています.技術革新がパラダイムを転換することの典型例をここにみることが可能です.大渕論文では,ドグマとパラダイムの危うい関係が論じられ,曲解されたEBMという興味深い指摘がなされています.
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