あんてな
鹿児島バリアフリー研究会の活動
大西 芳輝
1
1博悠会温泉病院リハビリテーション科
pp.908-909
発行日 1999年12月15日
Published Date 1999/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551105453
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Ⅰ.はじめに
振り返ってみると20数年前,筆者自身,院内ADLの向上のみを重要視して,自己満足の世界に溺れていたように思う.そのような状況の下で,退院後のフォローアップで患者さん宅を訪問し,入院中に獲得した機能が著しく低下している現実を知って愕然とすることがあった.こうした経験から,住環境も考えての理学療法の重要性を痛感させられたのが,本研究会設立のきっかけであった.
昨今,バリアフリーの言葉のみが一人歩きして,本来の意味から逸脱しているような印象がある.バリアフリーの意味については,ハード,ソフト両面からのとらえ方があり,なかでも物理的バリアに対しては,関係者と協力してクライアントの支援方法を探究していく必要があろう.
理学療法士・作業療法士は,日々の診療活動のなかで,クライアントの家庭復帰を目標に種々のアプローチを展開している.多くの病院・施設ではクライアントの住宅改造や新築時の相談に対応する機会がしばしばある.その際,我々の分野あるいは視点のみで住環境問題に対応するには自ずと限界があり,諸々の問題について専門家の意見・情報を集約して,最適の住環境を提供できるようでなければならない.
障害児(者)・高齢者が高いQOLを維持しながら在宅生活を営むためには,より良い住環境の下で,彼ら自身の自立範囲の拡大と並んで介護者の介護量の軽減につながるような支援が大切である.そのためにも,関係者自らが「バリア」を取り除き,ほかの専門職種と協力して取り組んでいくことが不可欠である.
本稿では,鹿児島バリアフリー研究会の歩みを紹介しながら,今後の課題について述べることにする.
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