定点観測
—鹿児島・鹿島から—離島における診療活動を通じて
宇田 英典
1,2
Hidenori UDA
1,2
1前鹿島村診療所
2国立南九州中央病院
pp.811
発行日 1983年9月1日
Published Date 1983/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541208121
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人口千人の離島寒村に,診療所一っという条件では,日常診療も多種多域に及び,また高齢化社会の最先端をいくこのような地においては,日常診療そのもののあり方も考えさせられる点が多い.診療所の役割も日常診療を中心に,公衆衛生活動,保健活動,教育など様々であるが,ここでは日常診療を通じて考え,感じていることについて二,三述べてみたいと思う.
1日約50人程度の外来であるが,その平均年齢は60歳と高齢であり,うちわけも脳血管疾患,心血管疾患,高血圧,筋神経系疾患など慢性疾患が主である.このような平穏たる診療活動の中でも,入院もしくは経時的観察,治療を行う必要のある救急患者の発生をみることがある.上記救急患者をみたら,当診療所で治療し得るもの,本土へ転送するものの判断がなされなければならない.少ない症例であるが,1年間に31例の上記のごとき対象患者を経験した.15例は本土の専門病院,総合病院への転送群であり,16例は当村診療群であった.本土への転送は脳外科疾患,外科手術疾患,婦人科,整形外科疾患など様々であるが,平均年齢49歳と比較的若いのに対し,当村診療群は虚血性心疾患,整形外科疾患,感染症などで,平均年齢63歳とやや年齢層の違いが目につく.本土転送もしくは村内診療の判断は様々である.
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