講座 理学療法における標準(値)・2
下肢筋力
吉村 茂和
1
,
相馬 正之
1
Yoshimura Shigekazu
1
1東京都リハビリテーション病院理学療法科
pp.607-614
発行日 1998年8月15日
Published Date 1998/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551105115
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はじめに
下肢筋力は,立ち上がり動作,歩行および階段昇降などの基本的あるいは応用的日常生活動作に直接影響してくる.そのため,下肢筋力を測定した結果その値が標準より高いのか低いのか,または下肢筋力が日常生活動作にどれだけ影響しているか,を推測することは,理学療法士にとって非常に興味のもたれるところである.
下肢筋力は,単関節運動を基に股関節の伸展・屈曲・外転時など,膝関節の伸展・屈曲時,足関節の背屈・底屈時など,それに複合関節運動である脚全体を伸ばす脚伸展時に測定が可能である.
本稿では,筋収縮様式,筋力測定,測定器具,下肢筋力の標準値の順に話を進めたい.下肢筋力の標準値では,これまで報告された下肢筋力の測定値(標準値としての意味合いを含む)を引用して図表で示すことにする.これは測定器具や方法を同一にして下肢筋力を測定した場合,同じような結果が得られると考えるためである.更に,研究者によって測定方法・使用器具などが多種多様であるため,多数の健常対象者(100名前後)の下肢筋力を測定した報告を中心に,可能な限り種々の測定方法・使用器具についても簡潔に記載する.文献で名称が定まっておらず,脚筋力が膝伸展力を表現している場合は,全て膝伸展力として統一した.また,筆者が以前に実施した下肢筋力の測定結果についても,参考として本文中に紹介することにする.
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