とびら
今あらためて思う
山本 和儀
1
1大東市保健福祉医療センター
pp.617
発行日 1997年9月15日
Published Date 1997/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551104827
- 有料閲覧
- 文献概要
私が理学療法士の道に飛び込んで,早30年の歳月を迎えようとしている.この30年間を振り返ると様々な出来事があったが,一理学療法士として当時を振り返ると,我が国には地域リハビリテーションという言葉や概念は関係者間でも一般化されていなかったと思う.したがって,障害のある方々は医療機関等の施設で一定程度訓練を受けると退院(所)となり,その後の生活まで十分配慮されていたとは言い難い状況にあった.
しかしながら今日,保健・医療・福祉関係者の間では地域リハビリテーションという言葉も認識されつつあり,国の施策にもこの言葉が明記されるようになってきている.時代の変化とは言え,20数年来地域リハビリテーション活動に取り組んできた私としては,嬉しい限りである.しかしながら,理学療法士の世界全体を考えるとき,このような時代的変遷のなか,我々理学療法士は国民ニーズに応え,十分なサービスを提供してきていると言えるのであろうか.今や公的介護保険制度に代表されるように,社会保障制度は大きな変革期を迎え,着実に時代は変化しつつある.このような状況にありながら,理学療法士は旧態依然の体質を抱えているのではないであろうか.
Copyright © 1997, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.