特集 戦争と平和
わたしの読後感「白の墓碑銘」を読んで
あらためて知る戦争の悲惨さ
中本 貴代美
1
1神戸大学付属看護学校
pp.33-35
発行日 1968年8月1日
Published Date 1968/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661914077
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「戦争」これは絶対に再びくり返してはならない行為である。戦争という行為を経験していない私たちも概念的には,はっきり「いけない行為である」といいきることができるのであるが,実際には直接それを経験していないわれわれ若者にとって戦争を理解するためには,伝記,書物,あるいは記録映画などによって間接的に知る以外にないのであるが,最近では,テレビ,映画などにカッコウよく表現されている戦争をあまりにもたくさん見せつけられているために,いくら戦争が残酷であるといわれても実感が伴わない。戦争といえばなぜか最初にテレビなどの画面が頭に浮んでくるのである。
今もなお,戦争のなかで生活し,また,死んでいっている人がたくさんあるという事実でさえ,遠い国のできごととして考えがちな昨今,「白の墓碑銘」を読む機会に恵まれ,従軍看護婦という身近な存在から戦争の悲惨さをあらためて思い知らされた気持である。また,われわれ日本人が,いや世界中がある面で今も戦争に参加しているといわれる今日,戦争という不幸から人類を救うために戦争を経験された方々は,われわれ若者にこの書物のように戦争の残酷さ,悲惨さをもっと知らせてほしいと思う。
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