入門講座 社会福祉施設における理学療法・1
重度身体障害者更生援護施設における理学療法士の役割
小村 博
1
Komura Hiroshi
1
1津麦園
pp.53-59
発行日 1997年1月15日
Published Date 1997/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551104675
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はじめに
近年,社会福祉施設における理学療法士の需要が高まりつつある.というより,需要そのものは以前より高かったのだが…….
一般病院やリハビリ専門病院への理学療法士の指向は,現在も高いものがあると聞くが,それでも社会福祉施設や行政などで仕事をする理学療法士が,近年すこしずつ増えてきていることは,社会的ニーズが高まっていることにほかならないと思う.
障害を抱えながら生きていく障害者にとって,理学療法士の継続的なかかわりは,生活上の安心感を生むようである.基本的な生活を営むうえで,身体的な障害が常に影響するため,そのフォローが十分かつ継続的に行われることは,本人の障害に対する不安を取り除くからである.社会福祉施設において,そのかかわりは身体的な障害に対する理学療法のみならず生活全般にわたり,日常の世話,話し相手,遊び相手など様々な形でのかかわりである.患者・治療者という一般的な病院等での関係とは趣を異にし,むしろ人と人との関係といったほうがわかりやすく自然である.
さて,今回重度身体障害者更生援護施設における理学療法士の役割というテーマをいただいたが,全国での施設数は71施設(平成7年10月現在)あり,公立36施設,私立35施設となっている.法で定めるところの設置目的は共通していても,公立・私立での違いは勿論,各施設での特色は多分に異なる面があろうかと思う.本稿の後半は私の勤務する津麦園での話が中心になることを最初にお断りしておきたい.
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