Japanese
English
講座 行動科学・4
行動科学の学際領域
Behavioral Sciences. 4: Interdisciplinary Studies in Behavioral Sciences
筒井 和義
1
,
臼井 真理子
1
,
坂田 省吾
1
Kazuyoshi TSUTSUI
1
,
Mariko USUI
1
,
Shogo SAKATA
1
1広島大学総合科学部人間行動研究講座
1Faculty of Integrated Arts and Sciences.
pp.695-698
発行日 1994年10月15日
Published Date 1994/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551104109
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
Ⅰ.初めに
「行動や精神活動の基本原理の理解」の解明こそ,現代の行動科学に与えられた最重要課題である.
前回の講座では,脳研究の最近の進歩を紹介し,「行動や精神活動の基本原理の理解」には,巧妙な情報処理装置として働く脳の機能を具体化する必要性を述べた.脳の高度な情報処理機能は神経細胞が構築するネットワーク,すなわち神経回路網の働きで営まれるが,同時にこの神経回略網は脳や末梢内分泌器官の細胞が生み出す物質的環境下に存在している.したがって,「行動や精神活動の基本原理の理解」には,個体レベルの反応である行動の観察のほかに,神経細胞の集合体である神経回路網のシステム的解析や神経細胞の機能の物質的解析が必要であり,既成学問との境界領域を含めた総合的探求が要求される(図1).本講座では,行動を研究する分野が科学として開拓されてから,どのような学際領域を包含して発展を遂げ,将来如何なる方向へ進もうとしているのかを紹介する.
Copyright © 1994, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.