連載 Words, words, words.─学際的なダイアローグをめざして・words 1【新連載】
学際的 interdisciplinary
江藤 裕之
1
1東北大学大学院国際文化研究科
pp.66-70
発行日 2012年2月15日
Published Date 2012/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681100620
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この連載のねらい
「健康」という概念を中心にして,人間,そして人間をとりまく問題をホリスティックな視点から解明・解決しようとする看護研究には,それに関連する多くの隣接研究領域がある。WHOの健康の定義にあるように,われわれが身体的に健康であるのみならず,心理的・精神的にも,そして社会的にも健康であることをめざすには,さまざまな学問分野の恩恵にあずからなければならない。そこで,看護研究と密接にかかわる隣接領域には,医学,生理学,薬理学などはいうまでもなく,心理学,社会学,人類学,さらには哲学,倫理学,言語学など実に多くのものがある。
人間そのものが複雑きわまりない存在であるがゆえに,その人間を対象とする看護研究にはこのような複眼的な視点が求められる。さまざまな現象が複雑に絡み合う問題のすべてを,1つの理論だけで説明できるなどということはない。そこで,看護研究者は自らのパースペクティブを立てながらも,研究目的に関連する隣接諸科学の動向をうかがいつつ,その分野の古典的な文献から最新の学説までリサーチし,その成果を果敢に取り入れながら,問題解決に向けて独自の方法を展開している。いってみれば,看護研究者は,その研究領域によっては,同時に心理学者でもあり,社会学者でもあり,そして言語学者,哲学者にもなり得るのだ。
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