特集 理学療法における基礎研究
理学療法における基礎研究―私の体験と実際
臨床における基礎的研究と学際性
久保 晃
1
Kubo Akira
1
1国際医療福祉大学保健学部
pp.547-549
発行日 1996年8月15日
Published Date 1996/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551104689
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1.はじめに
理学療法士学会や全国研修会に参加すると理学療法領域の深まりと広がりを感じる.例えば,呼吸器や循環器疾患などに分類され,そのなかでも胸部外科の手術前後での呼吸管理の手技,評価,効果判定といったように専門分化し,理学療法の深みを増している.また,新生児から老人,救命救急から在宅ケアに至るまで守備範囲は拡大され,各々の分野は社会のニーズに応えるべく盛んに活動している.
臨床を重視し,患者との関係を大切に考えている臨床の実践家には,研究や調査に隔たりを感じている人が少なからずいるようである.特に基礎的なものはなじみにくいと思われている.研究には目的があり,特に実験となると患者さんを被検者としてしまうため人間味に欠け,治療実践に対して意図的な関与や介入を避けられないといった偏見を持ちやすい.しかし,このような否定的なイメージが存在する一方で理学療法の深まり,広がりを支えるためには臨床実践の裏づけや効果判定のための研究や調査の蓄積は必要不可欠であるとも考えられる.
そこで私の若干の学会発表や論文報告の経験から,臨床にどっぷりつかっていた立場から基礎的な研究の体験と実際,考え方を紹介させていただく.
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