特集 脊髄損傷者の社会参加とQOLの向上
頸髄損傷者の社会参加の現状と課題
今西 正義
1
1トーコロ情報処理センター(全国頸髄損傷者連絡会)
pp.680-681
発行日 1994年10月15日
Published Date 1994/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551104104
- 有料閲覧
- 文献概要
1.初めに
頸髄損傷者の発生はここ十数年の間に急増し,障害も重度化してきている.その背景としては産業構造の変化と余暇の求め方が多様になり事故の可能性が高くなってきたこと,それとともに医療技術の進歩に伴い,今まで助かることの難しいとされてきた高い障害部位の人たちの救命が進んだことなどが理由であろう.厚生省では1991年に「障害者実態調査」を行なった.そのなかで頸髄損傷者(脊髄損傷で四肢麻痺)が全国に約2.9万人いることが初めて明かにされた.しかし頸髄損傷者の多くがどのような状況の中で,どのような生活をしているのか,その生活実態は明かではない.ちょうど,同じ時期に全国頸髄損傷者連絡会が「頸髄損傷者の生活実態調査」を行なった.今回,「頸髄損傷者の社会参加の現状と課題」を書くに当たり,この調査結果と私自身の体験を交え検証を行なうこととした.
私自身,28年前に海で飛び込みをしていて海面下の岩に頭を打ち,頸髄の5・6番を損傷した.現在,電動車いすを使用して(社)東京コロニー・トーコロ情報処理センターに13年間勤務している.
Copyright © 1994, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.