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特集 脳卒中における廃用・過用・誤用と理学療法
重回帰分析による慢性期脳卒中患者の歩行能力に影響する諸因子の検討―廃用症候群に伴う健側下肢筋力の重要性
Disuse, Overuse and Misuse and Physical Therapy in Stroke Patients: Factors Influencing Gait Abilities in Chronic Stroke Patients, A Multiple Regression Analysis
佐藤 秀一
1
,
岡本 五十雄
2
Shuichi SATO
1
,
Isoo OKAMOTO
2
1勤医協札幌病院理学療法科
2勤医協札幌丘珠病院リハビリテーション科
1Department of Physical Therapy, Kin-ikyo Sapporo Hospital.
2Department of Rehabilitation Medicine, Kin-ikyo Sapporo Okadama Hospital.
pp.93-99
発行日 1993年2月15日
Published Date 1993/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551103682
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1初めに
筆者らは,脳卒中患者の歩行能力に影響する諸因子について,重回帰分析を用いて検討し,歩行能力を規定する因子の順位は麻痺側下肢Brunnstrom stage,健側下肢筋力(大腿四頭筋力),痴呆,失調症,下肢関節障害(下肢痛,下肢関節痛),半側視空間失認,年齢であり,麻痺側下肢Brunnstrom stageと健側下肢筋力で歩行能力の50%以上を,また,7因子で64%を説明できたと報告した1).しかし,この調査では,発症後の期間と年代別との二因子による区分が無かった.
また,現在まで,歩行能力に健側下肢筋力が影響するということは強調されてきている2-5)が,どの年代からどの程度影響しているのかを詳細に検討した報告は少ない6).筆者らは発症後半年未満・以上の群と年齢別とで層別化して歩行能力に影響する因子について検討し,歩行能力は,高齢になるに従い麻痺の影響力が少なくなり,健側の下肢筋力の影響を受けるということを明らかにしたので報告する.
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