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特集 脳卒中における廃用・過用・誤用と理学療法
脳血管障害による起立性低血圧と理学療法
Disuse, Overuse and Misuse and Physical Therapy in Stroke Patients: Physical Therapy in Orthostatic Hypotension on Cerebrovascular Diseases
宇都宮 学
1
Manabu UTSUNOMIYA
1
1香川医科大学医学部附属病院理学療法部
1Department of Physical Therapy, Kagawa Medical School Hospital.
pp.100-108
発行日 1993年2月15日
Published Date 1993/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551103683
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1初めに
起立性低血圧(orthostatic hypotension)は,さまざまな原因によって生じるもので,リハビリテーション医学の領域においては,リハビリテーション開始時において最も考慮しなければならないものの一つである.一般的には長期臥床を強いられた患者や自律神経系の障害を有する患者において高率に発症することから,循環調節の障害による重力に基づく物理的現象として捉えられているが,その発生機序は複雑であり,未だ十分な解明は為されていない.
筆者らは,リハビリテーション開始時の阻害因子の一つである起立性低血圧の存在に注目し,1985年から疾患別に,その発現機序の解明と,理学療法効果とについて,多方面より検索を行なってきた15,16,18,20,32,34,57~59).その中で脳卒中急性期の起立性低血圧は,重度化している症例ほど著明であり,また,血圧の変動にもかかわらず脳血流量を一定に保とうとする脳の自動調節能(autoregulation)も障害されていることが多い.したがって,脳卒中の早期リハビリテーションを実施する上で,この起立性低血圧は,脳循環機能に大きな影響を与える因子として捉えるべきであり,その改善には慎重な配慮が求められる.
本稿では,起立性低血圧の発生機序,ならびに起立時の循環動態を中心に考察し,併せて臨床的見地から理学療法の実際について論述する.
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