学会印象記 第27回日本理学療法士学会
「移動」の意味の広がりを痛感
宮本 重範
1
1札幌医科大学衛生短期大学部
pp.564-565
発行日 1992年8月15日
Published Date 1992/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551103573
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第27回日本理学療法士学会は5月14日,15日の2日間にわたって日本の最西端の都市,長崎で開催された.学会のテーマは「移動と理学療法」であったが,私ども北海道の会員にとってはまさに端から端への大移動であったし,筆者には久し振りに帰省の機会にも恵まれた.
暖かすぎるほどの日和で幕を開けた学会は,最初から盛り上がりをみせた.来賓の中で本島長崎市長の祝辞はこれまでの学会に無い型破りなもので,もっとも際立っていた.氏によって語られたvan Siebold PFJBの来崎に始まりvan Meerdrvoort Pompeに継承された我が国における西洋医学の幕あけと永井博士に至るまでの歴史が場内を包み,私たちを圧倒した.西洋文化・医学の原点でもあった当時の長崎のようす,そして原子爆弾投下による被爆者の模様と,さらに,何不自由無く学問ができる平和な時代に生きている喜びとが交錯して,熱い気持の高まりを覚えずにはおられなかった.市長の祝辞の終わりに加えられた「人類の遣産は平和である」という声は,戦争を体験した人々の心の叫びでもあった.
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