プログレス
運動療法
村山 正博
1
1聖マリアンナ医科大学第2内科
pp.501
発行日 1991年7月15日
Published Date 1991/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551103311
- 有料閲覧
- 文献概要
虚血性心疾患,高血圧,高脂血症,糖尿病,肥満といったいわゆる成人病を対象とした運動療法が広く行なわれるようになった.しかし,その基礎にある治療原理については必ずしも明確でないものが多く,科学的根拠に乏しく情緒的に施行されている場合も少なくない.ここに運動療法のプログレスとしてその学問的背景を明確に述べるだけの研究の発展は未だ十分でない.臨床医学的アプローチの方法は基礎学問で得られた明確な理論をそのまま実際に応用していく手法と少々あいまいな点があっても実地に応用し,その結果を判断しながら逆にその理論を組み立てていく手法とがあるが,本法は後者の立場と考えてよい.しかも,運動療法の効果はかなり長期にわたる予後調査から判定されなければならないが,未だそのデータの集積の段階である.その意味で,ここでは臨床的立場から,特に成人病の代表である虚血性心疾患を中心とした運動療法の考えかたの現状を述べることとする.
Copyright © 1991, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.