Japanese
English
特集 内部障害(Ⅰ)
運動と心臓突然死
Exercise and Cardiac Sudden Death.
村山 正博
1
Masahiro Murayama
1
1関東逓信病院循環器内科
1Department of Cardiology, Kantoteishin Hospital.
キーワード:
運動
,
突然死
Keyword:
運動
,
突然死
pp.577-582
発行日 1982年6月10日
Published Date 1982/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552104765
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はじめに
運動を積極的に行うことにより健康を増進し,疾病を予防することが広く信じられており,ジョギングやランニングなどの運動を行うことが今や国民的ブームとさえなっている.また,心筋梗塞をはじめとする虚血性心疾患患者に積極的に運動を行わせることによりその回復をはやめ,また心機能を改善するという期待のもとに,これら患者に対しても運動を積極的にすすめているのが最近の臨床心臓病学の一つの風潮である.
しかし,一方,ジョギングやランニング中の死亡事故が新聞で報じられることが目につく様になり,運動中の突然死の問題が社会的関心を呼んでいる.虚血性心疾患や冠危険因子を有する人に積極的に運動療法を行う頻度が増すにつれ,事故も増えてくる可能性が強い.運動は一定の限度内で的確な運動処方に則って行ってこそ有益であり,適応を誤りまたは過度に運動を行うことにより事故を生ずることは本法の本来の目的から考え,極めて残念なことである.
運動中の突然死を論ずる場合,一見健康と思われる人の事故とすでに基礎に疾患があってリハビリテーションとしての運動を行っている時に生ずる事故とでは臨床的意義をやや異にする.前者では,まさに予期しない.いわゆるSudden unexpected deathといっているもので,それが故に運動を始める前のメディカルチェックが重要となるものであるが,後者では基礎の病態がある程度,判っており,事故についても当然予想はしているが,運動の実際の運用に関しての判断が問題となるものである.本稿では両者の立場から述べ,特に本誌の性格からリハビリテーション時の突然死についても触れたいと思う.
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