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特集 脳性麻痺児の発達過程と理学療法
脳性麻痺児の就学準備期における理学療法士のかかわり
Development of Cerebral-Palsied Children and Physical Therapy: Approach of Physical Therapist Cerebral Palsy Children at Preschool Age
川村 博文
1
,
鶴見 隆正
1
,
辻下 守弘
1
Hirobumi KAWAMURA
1
,
Takamasa TURUMI
1
,
Morihiro TUJISITA
1
1高知医科大学附属病院理学療法部
1Department of Physical Therapy, Kochi Medical School Hospital.
pp.364-369
発行日 1990年6月15日
Published Date 1990/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551103027
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Ⅰ.初めに
脳性麻痺,精神運動発達遅滞,先天性奇形などの障害児に対するリハビリテーションは早期診断,早期治療に始まり,子どもの成長とともに集団生活を体験し学校教育,社会教育を学び社会人として自立した生活ができるよう,一貫した体制でアプローチしてこそ療育の理念と合致したものとなってくる1,2).
しかしながらこれまでの理学療法は,いかにして運動機能障害,姿勢異常や行動異常などの治療訓練を実施すべきか,どのように抑制し矯正を行なうべきか,など運動機能改善に焦点が置かれすぎた面がある.それ自体は理学療法士にとって,運動療法のテクニックと理論とを高め,専門性を見いだす観点からもたいせつなことであるが,あまりにも近視眼的に運動機能や動作機能をとらえすぎるようになれば,量り知れない無限の能力を秘めている子どもの可能性を見失うことになる.したがって障害児が,新生児期,乳幼児期へと成長するにしたがって全身状態や運動機能の改善のアプローチから,健常な子どもたちと同じような社会生活を体験できるように支援していかねばならない.障害児にとって初めての社会生活の体験は,母親の手元から離れ集団生活を体験することから始まる.それは就学前教育を健常な子どもたちとともに保育所や幼稚園で受けることである.
そこで本稿ではわれわれが経験した障害児の就学準備期(出生から小学校入学まで)における理学療法士のかかわりと,高知県および我が国の障害児保育の現状について述べる.
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