特集 はたらく理学療法士の動機づけ
働く意味と人的資源管理
谷内 篤博
1
Atsuhiro Yachi
1
1実践女子大学人間社会学部現代社会学科・経営学
pp.972-977
発行日 2012年11月15日
Published Date 2012/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551102619
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はじめに
経済の高度化,複雑化,サービス化,さらにはそれらに起因する高度な分業体制は,われわれ個々人の知識やスキルの高度化・専門化を促すとともに,これまで以上に社会的連帯を必要とし,仕事と人間の新たなかかわり方が求められつつある.もはやこれまでのような世俗的な意味において,働くことは単なる生活の糧を得るための手段,すなわち経済的欲求の充足にその主たる目的があるとはいえず,働くこと自体に新たな価値が求められている.
こうした動きは,何も企業社会や産業社会にのみ顕著にみられるものではなく,医療分野においてもみられる.例えば,理学療法士(以下,PT)の分野でも,高齢者や生活習慣病の増加によるリハビリテーションニーズの高まりや2006年度診療報酬改定に伴い,PTの医療専門職としての質や技量の向上,他の医療職種との差別化がより一層求められている.これまでのような患者(クライアント)とPTの1対1というような閉ざされた担当制のもとでの仕事の進め方やかかわり方では,医療専門職としての望ましいキャリア形成は到底望めない.まさに,PTにおいても新たな働き方やキャリア形成が求められているといえる.
そこで本稿では,こうした医療専門職であるPTに焦点を当て,企業社会との比較を通して,専門職としての働く意味やキャリア形成のあり方,さらには求められる人材マネジメントのあり方を探究していきたい.
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