連載 今,なぜ医療経営学を学ぶのか 基本からわかる医療経営学・8
病院における人的資源管理
明石 純
1
1流通科学大学サービス産業学部
pp.70-73
発行日 2007年1月1日
Published Date 2007/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541100472
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一般企業からある病院に事務系幹部候補として転職したばかりのA氏は,初仕事として管理体制の充実のための企画立案という課題を上層部より与えられました.病院管理にも多くの課題がありますが,医療は労働集約サービスであり,多くの医療スタッフに能力を最大限発揮してもらうことが最も大切と考えたA氏は,まず最初にヒトの側面に着目することにしました.病院長や事務長とも相談のうえ,人事の領域で改善すべきことがないかといった現状把握の取り組みを始めました.
まず最初に驚いたのは,その病院には人事部はおろか人事課もなく,人事の責任者は人事部長や課長ではなく,総務課内の一担当者であったことです.前にいた会社では,人事部長が取締役の一員として会社全体の人事政策について大きな発言力を持っていました.しかし,転職したこの病院で行われている人事業務は,採用や社会保険手続き,労働基準法やその他の法規上必要な措置など最小限のことしか行われていないように見えました.教育研修についても人事担当者が病院全体の計画を立てている訳ではなく,各部門で独自に行われています.
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