連載 変革期における看護の人的資源計画・1【新連載】
人的資源推計モデル研究の概要
上泉 和子
1
,
板野 優子
1
1青森県立保健大学健康科学部看護学科
pp.59-68
発行日 2001年1月10日
Published Date 2001/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686902307
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はじめに
20世紀最後の年に介護保険制度がスタートした。超高齢化による人口構造の変化や,疾病構造の変化に対応する日本のヘルスケアシステムの新しい形の1つとして注目すべき制度である。医療と社会福祉領域におけるサービス供給体制の統合と再編成は,看護職の働く場の拡大と多様化として大きな影響を及ぼす。一方,高度先進医療の発展によって複雑化する患者の問題に対して,専門看護師など高度看護専門職の対応が期待されるところである。ヘルスケアニーズの多様化に伴い,サービスを提供する組織や施設も多様化している。今後,サービスを提供する看護に期待されるものは,必要看護職員数としての量的な充足のみならず,質的要素を加味して,どこにどのような資質をもった看護職が必要であるか,需要に見合った看護職をどのように供給していくか,そしてどの程度の看護職を投入したら,どのような患者のアウトカムが生じるのかなどを明らかにすることである。
そこで,この連載では,まず,人的資源推計モデルに関する研究についてレビューする。次に日本における現行の「看護職需給見通し」の評価と今後の課題について検討し,さらに,カナダにおいて開発されたHealth Human Resources Modelを中心にその詳細を紹介する。そして,最後に日本における需給計画に関する課題を述べたいと思う。
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