- 有料閲覧
- 文献概要
財団法人早期胃癌検診協会(早胃検)理事長丸山雅一先生は平成19年(2007年)10月29日にお亡くなりました.謹んで追悼の意を表します.先生は本誌「胃と腸」の編集委員を1981年から2002年まで務められました.
先生は昭和41年(1966年)に千葉大学医学部を卒業しました.昭和42年(1967年)春の医師国家試験をボイコットしたために,千葉大学第一内科への入局は半年遅れました.入局しないうちも白壁彦夫先生の研究室に出入りしていました.白壁先生より今後は語学が重要になると言われ,英会話を重点的に励み,先生自体の語学に対する優れた素養もあり英会話を習得されました.白壁先生の英文著書などは丸山先生が中心に上梓したものでした.また,南米に長期出張しスペイン語も短期間に修得されました.
昭和42年10月に千葉大学第一内科に入局し,同年12月には癌研究会附属病院に移り,熊倉賢二先生の下で早期胃癌のX線検査を修得しました.当時,本誌の表紙は「胃と腸」でしたときに,丸山先生はこれから大腸の時代になると,大腸癌,特に早期癌を中心に精力的に研究しました.当時の大腸内視鏡検査では下行結腸に内視鏡を挿入することも困難でした.一般的に大腸検査はX線検査でした.西澤護,狩谷淳によってX線検査前処置はBrown変法(1970年)に改良され,注腸二重造影法によりX線検査の精度は飛躍的に向上しました.そしてジャイロ式万能透視台を駆使し,大腸X線診断学を確立しました.大腸癌の美麗な写真を描出して,X線所見・切除標本・組織像を対比して,「大腸癌の変形5段階論」(日本医放会誌,1973年)として,これまでの業績をまとめて発表しました.この発表後,大腸癌の深達度診断を腸管変形からみることがX線所見の基本となりました.丸山先生は早期大腸癌の定義が決まる前から,早期胃癌の肉眼分類を大腸癌にも使うことは矛盾しないことを提唱されていました.
Copyright © 2008, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.