講座 理学療法スタンダード・2
片麻痺歩行障害の理学療法スタンダード
髙見 彰淑
1
Akiyoshi Takami
1
1弘前大学大学院保健学研究科
pp.869-875
発行日 2011年10月15日
Published Date 2011/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551102092
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はじめに
中枢神経機構である脳の損傷は,運動系,感覚系,認知・知覚系など運動制御に大きく影響する.様々な運動課題に対して,周囲の環境に適応し動作を遂行する際,そのシステムが十分発揮できないことを示す1,2).脳卒中発症により生じた歩行障害に対する治療戦略としては,これらを勘案したヒトの行動と環境適応を考慮した「課題指向型アプローチ」が代表的だが,運動制御理論や装具・機器の使用法をはじめ数多くのセオリーとその介入方法が存在し,適用には十分な配慮が必要である.特に,発症からの時期を考慮すべきであり,治療介入もそうだが,評価指標結果の解釈にも注意を要する.
精度の高い測定,エビデンスのある先行研究などを参考に,様々な場面を想定して,個体のもつ特性,環境も含め,統合的な解釈にて臨床的意志決定を行うことが大切である3,4).
ただし,どのような介入方法であっても,リスク管理を徹底して安全性の配慮のもと行われるべきであることは言うまでもない5~8).「リスク管理を十分行い,発症早期から積極的に早期座位,立位,装具を用いた早期歩行練習などを行うこと」が強く勧められると,ガイドラインで紹介されている9).
今回は,脳卒中歩行障害の理学療法スタンダードということで,この脳卒中ガイドライン20099)を中心に,システマティックレビューなどを参考に,歩行障害に関する測定・評価指標および介入方法について紹介する.
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