特集 糖尿病の理学療法
こんなときどうする―糖尿病合併症に対する症状別アプローチ
1.血糖コントロール不良
小山 昭人
1
Akito Koyama
1
1市立札幌病院リハビリテーション科
pp.641-645
発行日 2011年8月15日
Published Date 2011/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551102026
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はじめに
糖尿病は,生涯にわたりできるだけ良好な血糖コントロール状態を維持していくことが重要である.そのことを支援していく糖尿病治療は「血糖,体重,血圧,血清脂質の良好なコントロール状態の維持,糖尿病細小血管合併症および動脈硬化性疾患の発症,進展の阻止,健康な人と変わらない日常生活の質(QOL)の維持,健康な人と変わらない寿命の確保」1)を目標に掲げ,「食事療法」「運動療法」「薬物療法」の3本柱を中心に進められる.また,患者も「受け身」の姿勢ではなく治療に参加する能動的姿勢が大切であり,そのための自己管理(セルフケア)行動がとれるように「患者教育」を施すことが欠かせない.
多くの患者は血糖コントロールが良好な状態で落ち着き,HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)値が正常値に近づくことを,また合併症発症や重症化の抑止を強く願っている.しかし現実にはどうであろうか.患者は一生懸命努力を重ねているにもかかわらず,血糖値の悪化に歯止めをかけられないケースが少なくない.
糖尿病は,主に自己免疫を基礎にした1型糖尿病,インスリン作用不足を生じて発症する2型糖尿病,特定の原因によるその他の型の糖尿病,妊娠糖尿病の4つに分類されている.
本稿では,今最も急増している2型糖尿病における血糖コントロール不良について,どのようにアプローチを進めたなら患者の糖尿病治療を支援できるのか,評価に必要な検査値や指標を提示しながら紹介する.
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