徹底分析シリーズ 脳外科手術のControversies―2
術中の血糖のコントロールはどうあるべきか?
森本 康裕
1
,
野上 裕子
1
Yasuhiro MORIMOTO
1
,
Yuko NOGAMI
1
1宇部興産中央病院 麻酔科
pp.600-604
発行日 2009年7月1日
Published Date 2009/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101100685
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脳神経外科手術時の血糖管理は,他の手術時とは異なるいろいろな側面を持っている。
ブドウ糖は脳で代謝される主な基質であり,低血糖は避けなければならない。逆に,高血糖状態で脳虚血が起こると神経学的予後を悪化させるという報告が多い。この両面から,脳神経外科手術時には血糖値に注意が払われてきた。血糖値の上昇を避けるため,手術中には糖を含まない輸液を用いるとされてきた。また,ブドウ糖投与は脳浮腫の原因となる。しかし,レミフェンタニルを使用するようになったことで,少量のブドウ糖負荷では血糖値を上昇させることはなくなった。近年,重症患者における厳密な血糖管理〔intensive insulin therapy(厳重血糖管理)〕が患者の予後を改善するとして注目されている。しかし,この厳重血糖管理については見直しがされてきている。さらに,急性脳障害患者への適応は議論の分かれるところである。
本稿では,脳神経外科手術時,特に脳障害患者に対するブドウ糖の投与と血糖コントロールについて,最新の知見を紹介したい。
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