特集 小児理学療法の新たなる展開
脳性麻痺の理学療法の変遷と展開
山川 友康
1
,
南 哲
1
Tomoyasu Yamakawa
1
1神戸学院大学総合リハビリテーション学部
pp.455-463
発行日 2011年6月15日
Published Date 2011/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551101972
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はじめに
理学療法士が療育施設に配属された1960年代以降,障害児・者を取り巻く医療環境や社会環境は大きく変化してきた.周産期医療の進歩により脳性麻痺の病態像が変容し1),障害に対する考え方も,1981年の「完全参加と平等」をテーマとした「国際障害者年」以降に大きく変化した.「国際障害者年行動計画」では障害者は「通常の人間的なニーズを満たすのに特別の困難を持つ普通の市民と考えられるべきである」とされ,結果として障害児・者のノーマライゼーション理念などの普及と発展に大きな影響を与えた.障害児・者や家族の権利意識が高まり,当事者や家族の自己選択や自己決定が尊重されるようになってきた2).また,重症心身障害の人々であっても,居住する地域で発達支援や生活上の支援,quality of life(QOL)の向上を求める流れが顕著になってきた.
2006年に障害者自立支援法が施行されて,障害児・者福祉は施設入所サービスから在宅支援や就労支援,家族支援の地域サービスに転換した3).教育制度面では学校教育法が改正されて,2007年度から「特別支援教育」がスタートした.また,従来の盲・聾・養護学校が特別支援学校に名称変更して一本化された.これらの小児理学療法を取り巻く社会状況の著しい変化の下での理学療法アプローチの変遷を振り返るとともに,現状の課題と展開について提示する.
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