特集 がん患者のリハビリテーションと理学療法
造血幹細胞移植患者における理学療法介入の意義
井上 順一朗
1,2
,
小野 玲
2
,
牧浦 大祐
2
,
竹腰 久容
3
,
中田 登紀江
3
,
石橋 有希
4
,
岡村 篤夫
4
,
南 博信
4
,
三浦 靖史
1,2
,
佐浦 隆一
5
Junichiro Inoue
1,2
1神戸大学医学部附属病院リハビリテーション部
2神戸大学大学院保健学研究科リハビリテーション科学領域
3神戸大学医学部附属病院看護部
4神戸大学医学部附属病院腫瘍・血液内科
5大阪医科大学総合医学講座リハビリテーション医学教室
pp.399-405
発行日 2011年5月15日
Published Date 2011/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551101949
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はじめに
2010年4月の診療報酬改訂において,「がん患者リハビリテーション料」が新設され,がん患者に対するリハビリテーション(以下,リハビリ)の重要性が認識されつつある.
がん患者に対するリハビリの特性として,がん自体が体力低下や機能障害を引き起こすことに加え,手術・化学療法・放射線療法などのがんに対する治療によっても身体機能に影響を及ぼす合併症が生じえることから,がんの種類や部位,進行を考慮したリハビリや,治療後に予想される合併症・機能障害を治療開始前から予防するリハビリが重要であること,また,他のリハビリ対象となる良性疾患とは異なり,原疾患の進行に伴い機能障害の増悪,二次的障害が生じるため,それらの変化に対応したリハビリが必要であることなどが挙げられる.
「がん患者リハビリテーション料」では,その算定要件となる対象患者の中に「血液腫瘍と診断され,当該入院中に化学療法若しくは造血幹細胞移植が予定されているもの又は施行されたもの」が挙げられており,固形腫瘍の患者のみならず,血液腫瘍の患者に対しても,前述のように障害に応じた積極的なリハビリ介入が求められている.これにより,治療後早期の社会復帰が期待される.
本稿では,造血幹細胞移植の概要および理学療法介入の意義を述べるとともに,当院で積極的に実施している同種造血幹細胞移植患者に対する廃用症候群予防のためのリハビリ介入について紹介する.
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