とびら
気づき
菅原 慶勇
1
1市立秋田総合病院
pp.367
発行日 2011年5月15日
Published Date 2011/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551101942
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“今時の若いPTは”と,昔はよく言われたものである.今日に至っては若いPTが優秀なのか,物分かりが良いのか,はたまた私自身若いPTとのつき合いが希薄になってしまったのか,言うこともないし耳にもしない.同僚に負けまいと突っ張り,勢いだけで過ごした20代であったと振り返り,自己嫌悪に陥る.周りの朋輩もそんな感じであるから,われわれ古参は,今時の若いPTを見習うべきなのかもしれない.ただ,何か物足りない.怒られたことは,今でもよく覚えている.怒られたことは二度と繰り返すまいと注意を払い,周到に調べ,考え抜いた末に納得し行動に移す.この考えるプロセスを持つ意識が大切である.そこには気づきが生まれる.
物事には程度(ほど)がある.素直さもである.今時の学生は何でも聞いてくる.確かに“何でも聞きなさいよ”と言った覚えはあるが,それは学生自ら調べることも前提としている.カンファレンスで意思決定が医師主導であった場合は,なぜか納得いかないことが多い.多くのスタッフが意思決定に絡んで考え抜いてこそ,気づきが生まれる.学生が,幼子のように“なんで,どうして”と努力なしに聞くのは,言うなれば独断でわがままである.そこに気づきはなく,生産性もない.
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