とびら
時代の要請に応える
福田 裕子
1
1エンパワーメントスクール ソレイユ
pp.281
発行日 2011年4月15日
Published Date 2011/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551101915
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3年前から地域での健康増進,介護予防,ストレスマネジメントやコミュニケーションの講師をしている.介護予防事業等で公民館へお邪魔するとき,私は何者なのか,どんなメリットを提供できるのかを,生活者の視点で分かりやすく伝えるよう心がけている.「あなたは何をしなければならない」と語られても人は気持ちよく動いたりしない.主語は「YOU」ではなく「I」メッセージにするのがコツのようだ.「私はあなたにこんなメリットを提供できる.(なぜなら)私は○○(具体的な経験や実績)だから.そして私たちでこんな地域と暮らしを創り上げたいと願っている」を伝えるようにしている.私が仕事を始めた20年前に比べれば理学療法士の認知度ははるかに上がったが,ここは田舎である.理学療法士と聞いてもピンと来ない表情の人も多い.試しに「病院でリハビリする仕事って言うと分かります?」と尋ねてみる.多くの人がYESと頷いてくれる.病院から来たリハビリの人=体に良いことを教えてくれる専門家,という構図をイメージしてもらおうという魂胆である.この構図が生きるのは,長年,治療や研究や生活再建の現場で実績を挙げてきた全国の理学療法士のお陰だと,感謝する一瞬である.
「リハビリの仕事は,回復の喜びを一緒に味わえる仕事です.でも,その方の辛い気持ちに触れるたび,何とか防ぐ手だてはなかったかと,いつも残念に思っていました.1人でも多くの方がケガや病気で辛い思いをしなくてすむように,健康で暮らせるように,そんな思いでこうして伺っています」.こんな話をすると,皆,身に沁みて健康でいることの大切さを感じておられるのか,大きく頷いてくれる.
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