特集 綜合保健活動の推進
談話室
綜合保健は時代の要請
斎藤 潔
1
1国立公衆衛生院
pp.2-3
発行日 1965年1月15日
Published Date 1965/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202962
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「公衆衛生」誌が,編集企画上の旗幟を「綜合保健の推進」とかかげて,今年一年間,読者にその方面の記事を提供してゆくという。けっこうなことと思う。もつとも,「綜合保健」なる言葉が人々の口に上るようになってから何といっても年浅い。だから,理解の仕方やそれに応じての姿勢ともいうべきものには,まだまだ人によって微妙なずれがあるに相違ない。それはそれなりに,せいぜい数多く綜合保健の在り方や方法について発言されることが望ましく,それらがやがてより良い綜合保健活動の安定した土台を築く結果となろう。
綜合保健を時勢の必然たらしめた根本は,文明の急激な進歩であり社会の急速な変容であろう。この進歩と変容がもたらした人間の内外の生活環境には一世紀前のそれと比較しがたい複雑な変貌がみられる。疾病の一点をとらえても病像の変化,患者年齢の推移は著しい現象であり,綜合保健はまさしくこの変化,推移が招来した必要不可欠の理念だと考えられる。
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