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はじめに
脳卒中片麻痺患者への下肢装具に関しては,本誌でも何度もとりあげられてきた1,2).
近年は,従来より使用されている金属支柱付装具と共に,プラスティックを材質とする装具の使用も盛んになってきた3~5).プラスティックの材質としての検討は,熱可遡性のポリプロピレンが,曲げに対する耐久性と適度の弾性で,現段階では,最も適していると思われる.デザインの工夫は,いろいろなされてはいても6~8),一般的には靴ベラ式(Posterior Leaf Type)のオルソレン9)やポリプロピレンの半既製品5)が,使用されているようである.
プラスティック装具の長所は,みた目がよく,軽量で,装着感よく,靴の変更が可能等はあげられても,実際の使用にあたって,その適応や処方の基準が,未だ明確でないのが現状と思われる.当鹿教湯病院では,靴ベラ式装具を,真空成型機を用いて,患者の陽性モデルからつくるポリプロピレン製装具(Molded Orthosis)(図1)を,著者の一人(石神)が,PhiladelphiaのKrusen研究所での臨床研究,製作方法を継続10,11),昭和52年当初より製作開始,既に400本以上をつくってきた.
このオーダーメイド装具は,
(1)完全なフィットが期待できること.
(2)処方上,画一化できぬ修正・補正が可能である(後述).
(3)足関節部で,内外反に対しての強い支持性が得られる.
等の諸点で,半既製品装具より,片麻痺の痙性や変形拘縮に対して,より高い適応が考えられる.
今回は,短下肢装具(Molded Ankle Foot Orthosis,MAFOと略)にしぼり,処方,製作,チェックポイント等の実際面を述べ,御批判をあおぎたい.
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