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はじめに
理学療法士(PT)や作業療法士(OT)が臨床の場で治療に当たる患者は,必ずといってよいほど薬物治療を並行して行っている.そのため,患者情報として患者の病歴や薬物履歴(薬歴)を知っておくことが必要となる.病院薬剤部や薬局の薬歴簿には,患者個々についての,使用した薬の量と期間,その結果得られた効果や副作用などが生じた場合の状況,およびその際とった処置など,それらの経過を追ったものが記載されている.医師や薬剤師からの使用した薬についての情報だけでなく,患者が薬を飲むのに不都合はないか,どんな食品を食べているかなど,患者からの情報も記載されている.
薬理作用とは薬が生体機能に及ぼす作用であり,特定の組織や臓器,機能に対して強く作用するものを選択作用と言う.薬にはいろいろな投与方法があるが,薬を投与した局所に限定して作用が現れるものを局所作用,薬が経口的に,あるいは直接血管内に投与され,循環系を介して作用が全身に現れる全身作用がある.また,治療上効果的な主作用と不利益な作用をもたらす副作用があり,これらの作用機序の基本形として,①細胞に対する作用(細胞膜,細胞内成分),②酵素に対する作用,③代謝拮抗による作用,④物理・化学的性質による作用がある1).
このような薬の様々な作用を理解し,薬の処方内容から医師の処方意図を汲みとってリハビリテーションを注意深く実施することが大切である.本稿では,臨床現場でPTやOTが関わることの多い高血圧症,糖尿病・高脂血症,パーキンソン病,脳血管障害,関節リウマチ,変形性膝関節症について,それらの病態の特徴と代表的な処方例を挙げて治療薬の作用機序と副作用について概説する.
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