特集 子どもの検査値の判断に迷ったら
3章 髄液一般検査/胸水・腹水検査
1.検査の種類と原理・読み取り方とその限界
藤井 克則
1
1国際医療福祉大学成田病院小児科
キーワード:
髄液検査
,
腰椎穿刺
,
胸水検査
Keyword:
髄液検査
,
腰椎穿刺
,
胸水検査
pp.1381-1385
発行日 2023年12月20日
Published Date 2023/12/20
DOI https://doi.org/10.18888/sh.0000002823
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脳脊髄液(髄液)は脳・脊髄と硬膜の間に存在する無色透明の液体で,中枢神経系の機能を恒常的に維持している.髄液は脳の脈絡叢(70%)ないし脳室上皮(30%)から産生され,側脳室からMonro孔を経て第3脳室に達し,その後中脳水道から第4脳室に入り左右1対のLuschka孔や正中のMagendie孔を通って頭蓋内および脊柱管内のくも膜下腔に出る.最終的には大脳正中部傍矢状静脈洞,くも膜顆粒ないしくも膜絨毛から静脈洞内に吸収される.これ以外にも脳静脈,脈絡叢,くも膜下腔,脊髄神経根,リンパ系からも吸収される.成人の髄液総量は100~150mL,1日産生量は500mLとされ,髄液圧は70~150 mmH2Oで保たれている.髄液は恒常的に流れており,産生や吸収,感染の問題があれば水頭症や髄膜炎等の中枢神経系障害をきたすことになり,その生理的特徴と疾患の関係は把握しておく必要がある.
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