書評
―嶋田智明(監修),日髙正巳(編)―「地域理学療法にこだわる」
平上 二九三
1
1吉備国際大学
pp.589
発行日 2010年7月15日
Published Date 2010/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551101705
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本書は理学療法にこだわった書籍である.そのこだわりはリハビリテーションに対してではなく理学療法に対してであり,しかも15年もの先を見据えて社会に貢献できる地域理学療法の進むべき方向性を描いている.本書の最大の特徴は,時間軸・場面軸・技術軸・対象軸・政策軸という5次元からの構成である.特に地域を時間的・空間的に統合することにより,「生活」にそして「人生」に深く関わる理学療法をめざしている.すなわち,地域理学療法を“Life Based Physical Therapy;生活・人生を基盤に考え・関わる理学療法”として位置づけたフレームワークとなっている.
その理念を踏まえた42名の執筆者は,何のために地域理学療法をするのかを問い続け,独自の専門性を築き上げてきた開拓者達である.「今,PTに求められていることは?」「社会や時代のニーズの変化は?」「PTが進むべき道は?」「PTが果たすべき役割は?」に正面から答えている.筆者一人ひとりがジェネラリスト・スペシャリスト・プラクティショナーであり,経験豊富な著者からのエキスパートオピニオンは実践力を格段に上げるヒントとなる.
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