書評
―嶋田智明・大峯三郎(編)―「実践MOOK・理学療法プラクティス これだけは知っておきたい腰痛の病態とその理学療法アプローチ」
百瀬 公人
1
1信州大学医学部保健学科理学療法学専攻
pp.882
発行日 2008年10月15日
Published Date 2008/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551101277
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臨床実習中の学生が混乱した場面について聞く中で教育現場と臨床現場の違いを感じることがよくあります.日本の多くの教育施設では,解剖学や生理学などの基礎医学を学んだ後に,運動学や理学療法評価学などの理学療法の基礎を学びます.それと前後して臨床医学を学び,最後に理学療法の治療を学びます.このようにして基礎から臨床までをすべて学んでから,学生は臨床実習へと向かいます.しかし,多くの学生は学校で学んだ知識の相互関係が把握できず,臨床の具体的問題の壁にぶつかる経験をします.
このような,学生がつまずきやすい臨床の具体的問題を中心に教育を行う方法があります.マクマスター大学でのproblem-based learningをご存知の方は多いでしょう.問題に基づいた学習を,小グループ学習を通して行い,グループごとに方向づけをするためのチューターとともに学生が主体的に学習するという学習方法です.このような教育方法も有効ですが,カリキュラム全体の編成を考えなければならず,現実的には困難であると思っている教育関係者は多いと思います.
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