講座 表面筋電図の臨床応用・1【新連載】
表面筋電図の基礎と臨床応用
菅原 憲一
1
Ken-ich Sugawara
1
1神奈川県立保健福祉大学理学療法学専攻
pp.411-418
発行日 2010年5月15日
Published Date 2010/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551101670
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はじめに
理学療法士にとって筋電図は,常に古くて新しいツールであると言える.筋電図は1900年初頭に生体電気現象を分析の対象として,既にあった心電図を応用して開発された.筋電図の開発当初は,様々な運動に関わる筋活動の定性的分析が中心に行われ,運動学の体系に大きな貢献を果たしたとされる.その後,1962年にBasmajianらによる「Muscle Alive」が刊行され,筋電図動作学としての体系が築かれた1).その後は最近に至るまで,表面筋電図と筋張力の関係,さらには周波数解析など,運動学における定性的および定量的分析のツールとしての展開がなされた.古くて新しいということは,「すでに完成されたツールであるが,その使い方によっては臨床上に必要な新しい知見が工夫次第で得られる」ということである.すなわち現在は,応用における展開期であると言える.
当講座では,表面筋電図(surface electromyogram:以下,SEMG)を用いて得られる運動学的および神経生理学的な情報を,理学療法の臨床においてどのように応用すべきかということを中心に概説する.特に,SEMGによって運動を分析する筋電図動作学,および各種刺激を行った後に生じる神経生理学的な分析を行う誘発筋電図の2点について提示する.
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