Japanese
English
特集 リハビリテーションにおける電気生理学
歩行分析と表面筋電図
A Method of EMG Data Processing for Gait Analysis.
高見 正利
1
Masatoshi Takami
1
1鹿教湯総合リハビリテーション研究所
1Kakeyu Rehabilitation Research Institute
キーワード:
歩行分析
,
表面筋電図
,
データ処理
Keyword:
歩行分析
,
表面筋電図
,
データ処理
pp.415-421
発行日 1996年5月10日
Published Date 1996/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552108101
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はじめに
表面筋電図(EMG)は筋の収縮時における多数の運動単位の電気的スパイクの荷重和であり,時間,振幅,周波数に関する情報を有する.原波形を歩行周期に関連させた模式図を始めとして,整流平滑波形すなわち包絡線波形や群平均波形,さらには周波数分析に至るまで幅広いデータ処理が行われている.
しかし,例えば活動時間に関する分析も多いが,その判断基準になる閾値の合理的な決め方は確定されていなかった.最近になって,活動の開始時や終了時の判断の違いを避けるために,群平均よりも振幅が少なく期間が短い部分を除外して,時間的に正しい波形を得る試みが行われている1).
振幅情報についてはその大きさが筋力をよく反映していて興味深い.患者の波形の概観を正常者と比較すると逸脱のようすは容易にわかる2).しかし,EMGは筋の部位や被検者が異なれば値も異なり,機器やデータ処理法の影響も受けるので,基準データでも異なったものになる.比較を可能にする規格化の方法や正常値のデータバンクの開発が待たれる.
このように制限はあるが,歩行分析にEMGを援用することにより臨床応用面での成果も着実に上がってきた.EMGを用いた歩行分析で術式を決め,脳性麻痺児の下肢の手術で良い成績をあげた例3)や,電気角度計と表面電極を用いたバイオフィードバック歩行訓練システムを開発し,慢性期の脳卒中片麻痺患者の歩行を改善させた報告4)もある.
筆者らも歩行分析の臨床応用を進めるために,EMGを取り入れて定量化を試みている.ここでは,その経験をもとに歩行分析における表面筋電図の利用法について述べる.
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