講座 理学療法(士)と倫理・4
理学療法の研究活動と倫理
真壁 寿
1
Hitoshi Makabe
1
1山形県立保健医療大学
pp.325-332
発行日 2010年4月15日
Published Date 2010/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551101646
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
近年の科学技術の伸展に伴い,臨床研究の重要性は一段と増している.医療の進歩は,最終的には臨床研究に依存せざるを得ない場合が多いが,臨床研究の実施にあたっては被験者の福利に対する配慮が求められる.このことは当然ながら理学療法においても同様である.
わが国においては,2003年7月に厚生労働省から「臨床研究に関する倫理指針」が提示され,2008年7月に全面改正された.この倫理指針は,世界医師会によるヘルシンキ宣言に示された倫理規範やわが国の個人情報の保護に係わる議論を踏まえ,また,「個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)第8条」の規定に基づき,臨床研究の実施にあたり,研究者等が遵守すべき事項を定めたものである.また,「臨床研究に関する倫理指針」に先立ち,2002年6月に「疫学研究に関する倫理指針」も文部科学省および厚生労働省から提示され,2008年に一部改正されている1).
本稿では,2008年に改正された「臨床研究に関する倫理指針」2)(以下,「指針」と略)を概括した後,実際に臨床研究を進めていくうえで参考となる書式,研究計画書,チェックリストなどの具体例を示し,理学療法士がどのように倫理に配慮し,臨床研究をしていくべきかを述べたい.
Copyright © 2010, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.