連載 Rapid Review & Topics
公衆衛生活動に伴う疫学研究と倫理
玉腰 暁子
1
1名古屋大学大学院医学系研究科予防医学/医学推計・判断学
pp.889-892
発行日 2004年11月1日
Published Date 2004/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100507
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
Evidence based Public Health(根拠に基づく公衆衛生活動)と言われる.例えば漠然と前年度の引継ぎで公衆衛生活動を行うのではなく,意義のある活動を選んで実施していくことが必要である.しかし,意義のある活動であるかどうかをどのように判断するのであろうか? 検証のためには,人を対象とした疫学研究は欠かせない.そして,人を対象として実施する以上,対象者に対して十分な配慮を行うことは当然である.
アメリカでは対象者に情報提供をしないまま梅毒の自然経過を観察したタスキギー事件に対する反省から,1979年に生物医学と行動研究における被験者の保護のための国家委員会「研究対象となる人間の保護に関する倫理原則のガイドライン」(ベルモント・レポート)1)が出されている.そこで述べられている基本原則は,「人間の尊重」(respect for persons),「善行」(beneficence),「正義」(justice)である.
Copyright © 2004, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.