書評
―嶋田智明・大峯三郎・小林 聖(編)―「実践MOOK・理学療法プラクティス 脊柱機能の臨床的重要性と上下肢との連関」
井﨑 義己
1
1長崎リハビリテーション学院理学療法学科
pp.340
発行日 2011年4月15日
Published Date 2011/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551101931
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実践MOOK・理学療法プラクティスのシリーズは新人理学療法士の臨床能力向上を目的に刊行されている.その最新刊である本書からも,シリーズに共通する編者や執筆された先生方の気概と葛藤が十分に伝わってくる.活字を読むことが極端に苦手な年代を対象としているため,文字数が多いと敬遠されるし,手にして読むまでに至らない場合が多い.そうかと言って,あまりにも簡潔すぎると逆に「意味が通じず,理解しにくい.」ということになりかねない.何よりもその体をなさなければ専門書しての意味がなくなってしまう.このように二律相反する難しい状況の中で「まずは手にとって,読んでもらわないと始まらない.」という担当の先生方のご苦労と努力の跡が随所に伺える仕上がりになっており,まずこのことに敬意を表したい思いである.
理学療法士が「脊柱」に関心を寄せる場合と言えば,「腰痛」やそれに対する「徒手療法」,そしてその原因や結果となる「姿勢分析」を行う際などがまず頭に浮かぶ.本書の特長は,それらに関する基本的な事項はもちろんであるが,特にミニレクチャーなどにおいて,解剖学や運動学と障害とをリンクした形で評価のポイントや考える視点などが分かりやすく丁寧に示されており,臨床での評価や介入やとらえ方の根拠がそこにしっかりと見出すことができる点にある.
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